『村上さんのところ』に癒された自分は単純だろうか
ニューヨーク帰国便、13時間のフライトの間、『村上さんのところ』を読んだ。
(質問は結構飛ばしたけど返答はすべて読んだ。)
一つ一つのエントリーを読む度に、自分が癒されていくのが感じられた。心のどこかが暖かくなっていくようだった。変に聞こえるかしれないが、泣きたくなってきた。鉛筆を取り出して、響く言葉に線まで書き始めた。
なぜだろう。
村上春樹氏の本を最後に読んだのは3年程前で、しかも小説だった。だから彼のノンフィクションを読むのはとても久しぶり。懐かしかったのだろうか。
村上氏のとても丁寧な返事。彼が生きてきた中で培われた哲学や視点。彼の返答はすべて、最近よくある即興性と安易さばかりの情報とはかけ離れている。それが新鮮だったのだろうか。
全部は読まなかったけれど、多様な背景を持つ人たちからの様々な質問に、”こうやって悩んでいる自分は一人じゃない”と励まされたのかもしれない。
フジモトマサル氏の挿絵にも和まされたと思う。
偏見かもしれないけど、村上氏のような返答はやはり、ある程度の年齢の人生経験を積んだ人でなければできないと思う。
これは自分にも言えるんじゃないか。50歳を前にして、30歳の時の自分と比べたら、もちろん失ったものもあるけれど、歳を重ねたことで得たものも多い。
帰宅後、荷物をすべて片付け、一人ソファに座り、泣いた。
そんなこともある。
もっと村上春樹の文章が読みたくなり、今日、紀伊國屋で文庫を3冊買ってきた。
その価格(550円の本が9.99ドル、490円の本が7.99ドル、670円の本が11.99ドル)に驚いたけど仕方がない。英語訳が出ていないものだし、Bookoffにも売っていなかった。
読書ってホントに安価なセラピーだ。