『ファウダ』『シュティセル家の人々』『アンオーソドックス』イスラエルドラマ、オススメ3作。良質エンタメは教科書より学べる。
ブログ読者さんから初の問い合わせがあった。私はコメント欄を設置していないので、わざわざフォームを記入してくださった。トルコドラマについての記事を気に入ってくださったらしく、是非、続編をとのリクエストだった。
と、いうわけでイスラエルドラマについて書いてみる。
- ことの始まり
- オススメ#1:Fauda (ファウダ - 報復の連鎖 - )
- オススメ#2:Shtisel (シュティセル家の人々)
- オススメ#3:Unorthodox (アンオーソドックス)
- その他いろいろ
- 最後に、是非読んでほしいオススメ本一冊
ことの始まり
- 仕事上、ユダヤ人の歴史やイスラエル・パレスチナ情勢を授業で長年扱ってきた。
- 現在は親友である、自分の元旦那がユダヤ人なので、イスラエルについて話す事が多い。
- 中東、イスラム教に漠然とした興味がある。
- 2週間のイスラエル・パレスチナ旅行、その後のヨルダン旅行での経験が忘れられない。
- コロナの為、自宅で過ごす時間がありすぎて、Netflixでドラマを見まくった。
- レバント地方(東部地中海沿岸地方ーレバノン、イスラエル・パレスチナ、シリア、ヨルダン)で定番の食べ物フムスが私は好物なので、この地方のことなら何でもアンテナを張っている。
オススメ#1:Fauda (ファウダ - 報復の連鎖 - )
元イスラエル精鋭部隊の敏腕エージェントが、自分が殺したはずのハマス闘士がまだ生きていることを知り、因縁の敵を迎え撃つために復帰することから、ストーリーが始まる。75%がアラビア語、字幕がヘブライ語(設定でもちろん他国語でも視聴可能)のドラマ。
PRとして、制作側も俳優たちも”イスラエルを正義として描いていない” ”イスラエル・パレスチナの両方の視点が組み込まれている”と言っているけど、やはり、”イスラエルって凄い” 思わせるように作り上げられている。
ここで、少し邪道なオススメ理由を一つ。
先ほど述べた私の元旦那が言っていたのだが、『Fauda』は今まで存在しなかった "ユダヤ人ドラマ"である。何故か?それは、ユダヤ人男性を "強くて、男らしくて、体と頭で戦い抜く" 存在として描いているから。これは、所謂ユダヤ人ステレオタイプにはなかったものだ。
これが欧米(特にアメリカ)でない国々で製作されたエンタメを楽しむ理由だ。今までの世界観や価値観、無意識にもっていた先入観などを覆してくれる。
オススメ#2:Shtisel (シュティセル家の人々)
エルサレムの一角にある、ユダヤ教の中でも特に厳格な超正統派の地区に暮らす父子を中心としたドラマ。
ユダヤ教の様々なグループについてはあまりにも長くなるのでネットで調べていただきたいのだが、 このドラマを見るべき一番の理由は、”どの国に住んでいようと、どの宗教だろうと、どの民族だろうと、皆同じ”という、小学校の先生が生徒達に道徳のクラスで話すような当たり前な事を再確認できることにある。
少しずれるが、主人公のアキバ役を演じている俳優Michael Aloniは、実はThe Voice Israelという、かなりおバカさんな番組のホストもしていた。ユダヤ教超正統派の繊細なキャラクターが頭に焼きついていただけに、大ギャップに驚く。
オススメ#3:Unorthodox (アンオーソドックス)
見合いで結婚した夫との生活を捨てて、ニューヨークからベルリンに渡った超正統派ユダヤ人女性のドラマ。
これはイスラエルではなくアメリカ・ドイツ合作のドラマなのだが、『シュティセル家の人々』との関連で、もっと超正統派ユダヤ人コミュニティについて知りたいという人がいるかもしれないので、紹介する。
見所は主人公エスターを演じるイスラエル女優Shira Haasの演技力。
『シュティセル家の人々』で、主人公の姪ルシャミ役ですでに存在感があった。超小柄で物静かな外見ながら、何か強いものを中に秘めていることを感じさせる彼女はこれからが楽しみ。
その他いろいろ
- Hostages:『ファウダ』ほどではないがスリル感抜群。ややこしい政治がらみは抜きで緊張感を味わいたい人にオススメ。
- Srugim: イスラエル版フレンズ(でもコメディではない)といわれる作品。ごく普通のイスラエルの20代後半の若者の様子を垣間見た気になる。リラックしてみれる作品。
- The Beauty and the Baker: 私の好みでは全くないが、女友達(アメリカ、日本両方で)が、はまった。ロマンティックコメディが好きな方はぜひどうぞ。
- When Heros Fly: 悪いけど、かなりイマイチ。カッコいいイスラエル男子4人のドラマ。ハマる人はハマるらしい。『シュティセル家の人々』のMichael Aloniもその4人の一人。
- Prisoners of War: アメリカで大ヒットのドラマ『Homeland』『In Treatmet』は実はこの(超暗い)イスラエルドラマが元となっている。主人公を演じるIshai Golanが昔やっていたストリートフード食べ歩き番組は結構面白い。
最後に、是非読んでほしいオススメ本一冊
イスラエル・パレスチナというと、紛争ばかり続いている複雑な地域という印象が強いのではないか?堅苦しい説明書的な新書を買うよりも、”人間の顔の見えるストーリー”から入ってみるのも一方法。オススメする『The Lemon Tree』は残念ながら日本語訳はまだない。でも、ある程度の英語力のある方なら大丈夫だと思う。是非是非どうぞ。